■心臓バイパス手術、バルーン療法とその後

 心臓外科が発達して、全国でバイパス手術やバルーン療法が行われるようになった。これぞ多くの命が救われると思われている。しかし、心臓病で死ぬ人は15万人を超える。昭和15年の結核で死ぬ人とほぼ同数である。当時結核は不治の病といわれていた。ところが今日、数では同数ながら心臓病が不治の病という緊迫感がない。バイパス手術等の治療法があるから不治の病とは思わないであろう。まあ、不治の病ではないにしても必ずしも完治するとも言えない。なぜなら、ガンと同じように生存率というのはある。年月がたてばやはり」心臓病で死ぬ人が多い。マスメディアでも手術が成功した時点でめでたしめでたしで終わってしまう。その後のことは言及しない。80代で5年でも命が延びれば文句も言えない。ところが40代、50代で5年命が延びたところで手放しで喜べるだろうか。医師は気をつけなさいぐらいは言うでしょう。ではどうやって気をつけるのですか。そこで東洋医学が登場するのです。膏肓のこりをほぐすのである。

◆◆膏肓…ああ、この神の示されたツボ◆◆

 東洋医学では五臓の他にもう一つの心包という臓器を想定する。心包とは文字どおり心臓を包むという意味です。解剖学でいうならば心嚢にあたるでしょうか。西洋医学では心嚢は単に膜であってたいした意味はないと考える。ところが東洋医学ではこの心包が重大な意味をもつのです。
 心臓本体が悪くなる前に必ずこの心包に何らかの兆候が表れるというのです。その心包の代表的なツボが膏肓という名のツボなのです。このツボのこりや痛みが心臓の疲れ、あるいは心臓が悪化する警報を発するのです。病院では膏肓のこりを訴えても問題にしません。心包の概念がないから警報音が聞こえないのです。

・ 日本の古いことわざに「膏肓に灸痕なき人とは旅をするな」というのがある。昔の旅はほとんど徒歩であったらしい。旅は道づれ世は情けといわれるように道中で親しくなり、共に旅することが多かったようだ。しかし、相手がどんな体の状態か知らない。そこで旅館の風呂場でそれとなく背中をみて膏肓にお灸のあとがなければいつぽっくり逝くか知れない。人殺しを疑われたり、盗みを疑われたりされかねない、とにかく面倒になる前に逃げ出しておけということだ。古人の身を守る知恵であろう。
 あれあれ、昔の人が現代人よりも人が突然死する予兆を知っていたことになる。現代人は医者に頼り、医者は機器に頼る。その機器は筋肉のこりや痛みをとらえることはできない。これじゃどうしょうもない。

・ この膏肓の症状をめぐって西洋医学の医師と患者の対立は昔も今も変わっていない。ーーーーー“背中に鉄板をはり付けたようなこりがあり、不整脈もあるというのにレントゲンや検査で異常がないとは何ごとだ”。このヤブ医者め、やれ早期発見だの、定期検診だのというのにこのざまは何だ。何が医学の発達だ。何が生活習慣病だ。こっちは心臓がいつどうなるのかと夜もよく眠られないというのに、何がストレスというんだ。医者のその態度がストレスというのに…。医者がわからなければ誰がわかるというんだ。…と、ふんまんやるかたない。

・ この話を聞いてあなたはどう思いますか。私のつくり話だと思いますか。このような患者の医師に対する赤裸々な話は聞いたことがないでしょう。医師が出るテレビの健康番組ではこんなことは話さないでしょう。医師が自分たちの弱点を話すはずはないでしょう。また、医療を扱ったドラマでも医師と患者の対立はあっても、最後は患者のわがままであったり、誤解であったり、結局は医師は良い子にされ、患者は悪い子にされてしまう。日本では一年に病苦で自殺する人が1万数千人いるのですよ。病苦で自殺する人たちは、わがままなんでしょうか。そんなに悪いのでしょうか。いいえ、それは現代西洋医療が欠陥医療だからなのです。それを医療の日進月歩の発達なんて軽々しく言うもんじゃない。膏肓の話にもどろう。私は長年リハビリに務め、針灸院を開業して感ずることは、膏肓に関しては医師と患者の接点はみつからず、平行線のままです。

・ 医師と患者はなぜ膏肓について接点がないのでしょうか。それは筋肉科はないからです。西洋医学はたくさんの科に分かれ、医師たちはそれぞれ自分の科に詳しく他の追随を許さない。内科、外科、眼科、骨科(整形外科)、皮膚科等々細分化して、大学ではいったいいくつの科があるのかわからない。医師たちも一般の人たちもこれで体全体を網羅していると思っている。ところがどうしたことか筋肉科がない。体重の40〜50%を占める筋肉科がないのはどうしたことでしょう。うっかり見落としたのでしょうか。見落としたにしては大きな問題ですね。誰にきいてもわからない。整形外科があるじゃないかというかも知れないが、彼らはしょせん骨屋なのです。筋肉屋なんて骨屋が片手間でついでにやるもんじゃない。筋肉は“内臓・筋肉反射”といわれるように大事なことなのです。その内臓筋肉反射の一つが膏肓なのである。すなわち、心臓の異常の前兆として膏肓のこりとして表れるのです。

・ 私が若いころリハビリで働いていた時の話です。20代後半の彼女はとても魅力的な人でした。膏肓のこりを訴えてリハビリで治療を受けていました。いつも彼氏が送り迎えをしていました。彼からプロポーズをされているが、体の具合が悪く、自信がないとのことでした。どうしたものかと私たちに聞いてきましたが、私たちは何も応えようがありません。私たちに他人の一生のことに口出しする資格はありません。そのうち彼女は結婚しました。私たちははたしてうまくいくかどうか心配していました。そして半年もすると破綻しました。それは私たちの予期したとおりでした。
 夫は何の背中のこりくらい。自分が愛情をもってもんでやればよくなると思ったのでしょう。ところが膏肓のこりは筋肉が疲労しているのではなく心臓の疲労であることを一般の人がいや、医師でさえ知らないのだからよくなることはありません。一時的には気持よく感じられても筋肉は強く押せば押すほど固くなっていく。愛情がかえってアダになるのです。胸がひろがらないから呼吸は苦しくなり、不整脈はでてくる。二人とも互いに相手を憎むようになる。二人とも何が原因かもわからずに…。彼女はただただ自分の不運をなげくのでした。私はこのようなことをいくつも見聞きしているのです。

・ 平田氏説…………あたりまえでありながら…
          誰も気づかないなんて…。

 地上に住む哺乳類はほとんどが4足歩行である。従ってその背骨は地表に対して平行になっている。内臓は背骨にぶら下がっている状態なので内臓どうしは他の干渉をうけない。ところが人間は二足直立歩行なので重力の法則により、上の臓器が下の臓器を圧迫することになった。地球上のあらゆるところでこの法則は働く。無重力状態とは宇宙空間にしかない。平田氏はこの重力の法則が他の動物とちがい、多くの病気の原因になると考えて研究したのであろう。そして、臓器を引き上げる方法を発見したのである。創造主(大自然あるいは神)は引き上げる方法も設計されていたのである。発見されるのを待っていたのです。そして、平田氏が世界でただ一人の発見者であろう。彼がどうして発見に至ったかは、故人となった今では知るよしもない。

・ 重力の法則では上のものが下のものを圧迫することは何もニュートンの万有引力を持ち出すまでもなく。私たちはそれを感覚で知っている。それを古今東西の医学者たちが気づかなかったことが不思議である。何の医学的知識なんていらないのである。今日でも病気の原因について百家争鳴か千家騒乱か知らないほどいわれている。しかし、この平田氏説ほど人々を納得させる説を私は知らない。

・ さて、その平田氏説で心臓の治療を腕の三角筋にある一点すなわち、肺昇穴のツボである。そして、肺昇穴の治療を必要とする体の症状(反応)は膏肓のこりまたは痛みである。膏肓のこりや痛みは肺昇穴を治療することによって、膏肓に一切触れることなく消滅する。膏肓のこりが消滅すると同時に肩こり、首こりも消滅している。また、めまい、はきけ、頭痛、頭重、舌のもつれ、まぶたの垂れ下がりなどの不定愁訴も消滅する。そして一番強調したいのは不整脈の消滅である。低血圧の改善、心臓ぜんそくの解決である。これらはいずれも西洋医学で手をやいているものである。

・ 余談

 私がどうしてこの治療法に至ったか体験を述べさせていただきます。私が外科で入院していた時、ある日心臓の異常を感じたのでした。ベットで横になっているときは、70〜80回うっていた脈拍が立っただけで2倍くらい速くうつのです。
 それを訴えると内科に廻され、心電図、心エコー、24時間心電図などの検査を受けました。でも、一向に返事がありません。
 私が「立っただけで脈が速くなるのです」と訴えても「そんなはずはない」と私の手首の脈に触れる医師はいなかった。全く病院というところは不思議なところで検査機器しか信じない。しからば、私は自分の自動血圧計を持ち込んでみせることにした。その血圧計は脈拍もはかれる。
 私は「いいですか。ますは横になった状態で測りますよ。85回ですね」という。医師たちはうなづく。次は腕帯はそのままにして立って測った。「ほら、140回になったでしょう」。「そうだね」と言ったきり医師たちは言葉がでない。1回目から2回目までの時間は20〜30秒しかたっていない。私はその時の医者たちの顔をみて悟りました。こんなのみたこと聞いたこともないという顔をしている。これ以上訴えても無駄だと悟りました。
 このままでは私は社会生活ができない。がっかりどころではありません。毎日悶々と家で寝てばかりの生活です。ストレスで胃潰瘍にさえなったのです。
 「窮すれば通ず」とはこのことでしょうか。かねてより心の片隅にあった平田氏説を試すことにしたのです。それは腕に五臓六腑を引き上げるツボがあるということです。立っただけで脈が早くなるということは肺臓が心臓を圧迫していると考えざるをえません。そこで私は腕の肺昇穴に治療を試みたのです。まさに、ピッタリの治療でした。一週間ですっかりよくなりました。そして私のところに治療に来る患者にも試みると、前述のように不整脈をはじめいろいろな病気に効果がありました。まったく驚きの連続です。

・ 平田内蔵吉(くらきち)独自の針灸理論を唱え、全国に広めようとしたが志半ばで戦死したと伝えられる。彼は中国伝来の針灸理論とは全く別の角度から人体をみている。中国理論には内臓を引き上げるという概念はない。
 天動説が信じられていた時代にコペルニクスは地動説を唱えて無視されました。それを支持したガリレオ・ガリレイは牢屋にさえ入れられました。「それでも地球は動いている」と言い続けた彼は有名である。平田内蔵吉のコペルニクス的発想ではないでしょうか。

・ 私の友人が「心筋梗塞や脳梗塞になった人は皆、自分がこうなるとは思っていなかったと言うではないか。だから、予防の話をしても気にとめないのではないか。だから再発防止の話をした方がいいのではないか」と、言いました。なるほどそうかも知れない。医師は再発に気をつけなさいというけれど具体的にどうしていいかわからない。
 では、私は具体的に言いましょう。心筋梗塞や脳梗塞になった人はやはり膏肓のこりがあるのです。よって上腕の三角筋にある肺昇穴にお灸すればよいのです。全国にそうした不安にかられている人の為にこうした情報をインターネットにのせて発信しているのです。私のように平田氏説を研究している人がおれば別ですが、私しかいなければ私はガリレオの役をやりたいと思っている。「スケールは全然ちがいますが」

・ 私の治療例を少々話してみましょう。

◆◆◆◆1話◆◆◆◆ 

 90歳の老人が私の治療院に2人の人にかつがれてきた。両足が挙がらないという。今まではどうにか歩けて、病院に行っていたが、あまり効果がないばかりかとうとう足が挙がらなくなったという。病院はサジを投げているらしくほとんど相手にしない。老化現象だからしかたがないという。私も歳を聞いてそう思った。おそらく寝たきりになるだろうと思った。膏肓のこりもひどいというのでまずは肺昇穴にお灸をしたがそれが冷えた足の効果があるとは思っていなかった。ところがどうでしょう。肺昇穴のお灸をすえると、しばらくして氷のように冷たい足がみるみる温もってきたではないか。同時に足も少しずつ動くようになってきたではないか。これには私もびっくり、ぶったまげた。
 普通、足が冷たいと言えばマッサージをやるとか、足湯や風呂で温めるなどの処置が常識でしょう。全く意外な結果であった。
 しかし、よくよく考えてみると、冷えは血行がよくないからであり、肺昇穴の治療をすれば心臓が肺臓からの圧迫から開放されて、心臓が活発に動く。血行がよくなるのはあたりまえなのである。
 その日老人は私からせんねん灸を買いました。それから三日後に来ましたがつえをついているとはいえ、自分の足で歩いているのです。三回目の時にはなんと階段さえ上れるのです。毎日肺昇穴にお灸をしているとのことでした。一般に人は足から老いるといますが、実は心臓も同時に老いていたのですね。老人は「あのまま病院にいっていたら、寝たきりになっていたでしょうね。それにしてもお灸の効果ってすごいですね」と、笑っていました。

◆◆◆◆2話◆◆◆◆

 70歳代の老婦人は頭痛で私の治療院に来た。心臓にペースメーカーを入れているが、月1回は頭痛がひどくて救急車で病院に運ばれるとのこと。病院ではただ寝かせておくだけで何にもしないという。私は思いました。ははあ、これはペースメーカーで脈拍は確保したけど心臓の血を送り出す力が弱いのだなと思いました。そして、肺昇穴にお灸をした。すると5分もたたないのに「お灸はよく効きますね。頭痛がよくなってきました。頭痛のツボって腕にあるんですね」と、不思議がっておられました。
 私は老人たちにはいちいち平田氏説の説明はしません。そんなこと短時間で理解できる人はいません。
 老人の頭は心臓の衰えで虚血性の頭痛が多いのです。心臓が力強く働けば頭痛はないのです。

・徳川家康はいう「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし」。人の一生と心臓の一生をおきかえてみよう。「心臓の一生は肺臓の重荷を負うて遠き道を行くがごとし」となる。人の一生の重荷は宗教の力をかりてもたいへんであろう。私たちのような凡人では簡単にできるものではない。ところが心臓の重荷はお灸で簡単におろすことができるのです。

◆◆◆◆特記◆◆◆◆

 実際は肺昇穴と同時、横隔膜昇穴も同時にお灸することが多い。その方が相乗効果がある。紙数の制限でこの横隔膜昇穴は詳しく述べられなかったが、ぜんそくや肺気腫などにとても効果があることを記しておこう。健康ほど宝はないという。肺昇穴と横隔膜昇穴を覚えればあなたの一生の宝です。

・ 事務職の人たちへ………事務職の人は肩こりは宿命だろうか。彼等の肩こりはひどいもんだ。おそらく90%以上の人々が肩こりを悩まされている。左も右も同じような人ばかりだから宿命だろう位に思っている。楽な仕事のはずなのにいつも疲れた顔をしている。他の人に疲れたと言っても「何を言っているのよ、こんな楽な仕事はないのに」言われる。では本当に疲れてないのだろうか。平田氏説によれば疲れているのです。肩をすぼめて書きものをするので、肺が十分にひろがらない。その分だけ余計に心臓を圧迫しているのです。そうです、心臓が疲れるのです。私は今までやれ脳梗塞だの心筋梗塞だのと説いてまいましたが、若いうちにそれらの病気が起こるわけではありません。心臓はじょうぶな臓器です。10年や20年でそんなにこわれるものじゃありません。でも20年以上を越すとわかりませんよ。でも事務職の人は毎日が憂うつじゃありませんか。楽しみも半分しか楽しくありません。何か人生を半分損しているじゃありませんか。平田氏説の肺昇穴へのお灸はそれをすっきりとさせてしまいます。肩こりのない生活なんて、こんなによかったのか。しかも自分でお灸でよくなるなんて…。

・ マラソン、ジョギング
 今日では全国のいたるところでマラソン大会が行われている。健康のためと言って何万人の人が参加する。そしてその日そなえて、毎日ジョギングできたえている。それがはたして健康にいいことだろうか。平田氏によれば、これほど心臓を傷めるスポーツはないといえる。ふつうの生活でさえ心臓をいじめているのに、さらにいじめるのですか。まあ、村おこし、町おこしでやっているからあまりきついことは言いたくないが…。せめて日頃から肺昇穴と横隔膜昇穴にお灸をして、少しでも心臓への負担を取り除いておいたらどうだろう。



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