■心筋梗塞、脳梗塞等の予防法と術後の再発防止

・ 心筋梗塞や脳梗塞等死亡者数は医学が発達したといわれる今日でも一向に減らない。また、軽くてあるいは手術で一命をとりとめた人は異口同音に「まさか私がこうなるとは思わなかった」と言います。予防法も聞いたこともあまりない。運が悪かっただけでよいでしょうか。また、その前兆はなかったのであろうか。それがあったのです。

・ それが「膏肓の痛みやこり」なのです。膏肓とは、針灸のツボの名前であり、「病膏肓に入る」といわれる、あの膏肓のことなのである。※膏肓=こうこうと読む。※膏肓の位置は解剖学では菱形筋の中にある。

・ 治療法、肩と上腕にある三角筋のある一点に針またはお灸をすえる。そのツボは肺昇穴という。なお、膏肓のこりや痛みは心臓の疲れの症状であり、肺昇穴のツボで膏肓のこりや痛みは消失する。

・ その効果、心臓の上に肺臓が負いかぶさっているんで肺昇穴を治療することによって、肺が引き上げられるので心臓が圧迫から解放されるので心臓は本来の働きをするようになる。

・ いきなりド肝を抜く話ですみません。今まで聞いたこともない話だと思います。これは平田内蔵吉(くらきち)という人が唱えた説なのです。腕に針や灸をして肺臓があがるといわれても一般の人は何が何やらさっぱりわからないのでしょう。しかも肺を引き上げるのに直接肺じゃなくてどうして腕にやるのか。ますますめんくらうだけでしょう。ここで少し廻り道をさせて下さい。

・ 東洋医学の概念では自然界は陰陽の二つの要素で成り立っている。例えば昼と夜、男と女、高気圧と低気圧、熱気と冷気、プラスとマイナス等々である。この二つは相補いながら相対立して流転する。高気圧から低気圧へ風が流れる。熱帯の熱気が極地の冷気と平均化しようとして台風となる。上空のプラスイオンと地表のマイナスイオンが平均かしようとしてカミナリとなる。植物は天の気(陽気)と地の気(陰気)が交流して生かされている。人間も同様である。

 
・ 私たちの肉体は飲食物のエネルギーによって生かされている。それは西洋医学も東洋医学も同じである。東洋医学ではさらにもうひとつのエネルギーが供給されているとみる。それは自然界にあまねく存在する気である。気の存在を無視して東洋医学は語れません。気には二つの気がある。陽の気と陰の気である。

・ 陽の気は手の指先から入り、体をめぐって足の趾先から外界に放出される。陰の気は趾先から入り、体をめぐって手の指先から外界に放出される。こうして陰陽の気がよどみなく体をめぐっておれば健康ということになる。

・ 針灸治療とはこの気の停滞を流してやることにほかならない。腹の具合が悪いのに針を刺したり、頭の具合が悪いのに足に灸をしたりする。それは気の流れの行き先が腹や頭であることを承知しているからである。奥の部屋のスイッチを玄関で押すようなものである。なお東洋医学では「気主血従」といって、まず気を流せば血液はそれに従って流れるといわれている。

 話をもとにもどしましょう。これで肺の治療を腕にするということがおわかりになりましたでしょうか。やはりわかりませんか。まあ、ぼんやりとわかった程度でいいでしょう。平田内蔵吉は腕の三角筋にあるツボに針灸すると肺臓があがると言っております。肺臓が引き上げられると結果として心臓が肺臓の圧迫から解放されるので心臓は活発に動くようになる。どうです、心臓の治療でありながら心臓には一切触れないで肺臓を目標に治療する。ここで肺臓には一切触れずに腕に治療する。東洋医学のはなれわざ、きつねにつままれたみたいでしょうか。

・心筋梗塞、脳梗塞の現状をみてみよう。
2千年以上も前の中国での話。
 孔子は中国が生んだもっとも偉大な人で儒教の教祖である。その孔子の弟子のひとりが病気になり、今にも死にそうである。もうひとりの弟子が聞いた「孔子さま彼ほど私利私欲のない人はいません。いつも他人につくしたのです。そのような人がどうして早死にしなければならないのでしょうか。」孔子は言われました「人の寿命というのは天が決めることであって人智のおよぶところではない」

・ さて、2千年以上も経った今日でははたしてどうでしょうか。医学は発達したとういうけれど・・・。

・ 先年、高円宮殿下が心不全でお亡くなりになった。殿下を知る人は「病気らしい病気もしなかったのに」「スポーツ万能でした」と故人を惜しんでおられました。ある人は言う「皇族の方は日頃から高名な医師たちに診てもらっただろうに予防できなかったのかな、急性だから仕方がなかったのかな」と話していました。

・ 長嶋茂雄氏が脳梗塞で倒れたというニュースは日本中が大騒ぎした。関係者の話では最も病気とは縁遠い人と思われていたという。健康にはいつも気をつけ、酒もあまり飲まず、たばこも吸わず、健康診断や人間ドッグも受けていたとのことでした。専門医の話では心房細動(不整脈)があり、病名は脳梗塞でも原因は心臓にあるとのことです。心臓にできた血のかたまりが脳に行って脳の血管をつまらせたそうです。高円宮殿下は心室細動(不整脈)があってやはり急性心不全でなくなりました。現代医学はこの二つの循環性疾患を予測できないようだ。

・ 孔子の話を思い出していただきたい。やはり人智のおよぶところではないのでしょう。
でも、でも、だって、だってこんなに医学が発達しているのに孔子の頃とかわらないなんて・・・
では、ここで西洋医学の信奉者のために、西洋医学の専門家に登場してもらいましょう。

※ 脳梗塞をいかに防ぐか。(心臓が原因の心房細動)

・ 病気になってから治そうとするより、なる前に予防した方がはるかに効果的である。そんなことはわかっている。だが、どこも痛くない、どこもかゆくない、生活を改めるなんて凡人にはできない。いや、凡人に限らず小渕恵三首相も長嶋茂雄さんも脳梗塞になってしまったではないか。
 では彼らの脳梗塞は今はやりの脳ドッグを受けていたら、果たして防ぐことができたであろうか。脳梗塞とは脳の血管がつまり、その先に血が流れて行かなくなって、細胞が死んでしまう病気である。脳ドッグでは通常、脳のCT検査、MRI検査など行われているが、これによって確かに脳腫瘍とか、動脈にできたコブ(動脈瘤)などがみつかるかも知れない。脳梗塞だって見つかることがある。でも、それは過去のいつの日か生じた古い脳梗塞の痕跡にすぎない。
 脳梗塞の起こる前の脳細胞は正常であり、その時点で脳の検査をいくら行っても異常は見つからない。将来そこに脳梗塞が起こるなんて想像できない。・・・中略・・・。心房細動で起こる脳梗塞がある。心臓に血栓ができ、それが血流に沿って心臓から出ていって脳の血管に入り込むのである。それまではいくら元気な脳であったとしても一瞬の間に脳梗塞になってしまう。
 心臓のせいで・・・。
 それならば心臓の方さえ治療できれば脳梗塞にならずに済むわけであるが、話はそう簡単ではない。いろんな薬を工夫することによって、あるいは電気ショックという方法を用いて、心房細動を止めて元の規則正しいリズムに戻すことはできる。しかし戻ってもしばらくするとまた元の心房細動が再発する。……後略……
(H17.9月1日、沖縄タイムス)
(三田村秀雄、東京都済生会中央病院副院長)


・ 結局は脳梗塞の予防はむつかしいということであろう。私の意見を少し述べると「脳梗塞になる前は痛くもかゆくもない」とあるが、膏肓のこりはあったと思われる。それを心臓異常のかすかなシグナルと気づかない。東洋医学を知らないからしかたがないが…。

・ 薬についてもう少し話してみよう。無作為比較試験というのがある。患者を二つのグループに分けて一つのグループには効果がないはずの物質(これをプラセボ=偽薬という)を使い、もう一方のグループには調べたい薬を使い、その薬が本当に効果があるかどうかを調べる。
 ところでこの方法で心筋梗塞後に期外収縮が発生した患者を二つのグループに分け、一方のグループにはエンカイニドまたはコレカイニドという抗不整脈薬を用いてもう一方のグループにはプラセボ(偽薬)の実験が行われた。
 心室性期外収縮というのは不整脈の一つだ。ただ心室性期外収縮があっても心臓に異常がない場合にはとくに問題はないので放っておけばよいと考えられている。しかし、心筋梗塞があってその後の心室性期外収縮が生じた場合には心臓が突然止まって突然死する頻度が心筋梗塞の場合よりも数倍高いと言われている。そのために期外収縮を無くする方向で多くの抗不整脈が開発された。実際、それらを使うと期外収縮がかなり抑えることができる。これで突然死が減ると期待されたのである。
 では期外収縮を抑制すればどれほど寿命が延びるのか確かめてみようということになって、先の無作為比較試験が行われたわけだ。ところがこの試験は突然中止されたのである。それは抗不整脈薬を飲んだグループの方が死亡率が高いことがわかったからだ…中略…。
 当面の目的である不整脈に効果があっても真の目的である寿命が延びることは効果ないばかりかかえって逆効果だったのである。
(薬学士、大浦純孝、人間医学、06年6月号より)

・ さて、どうでしょう。西洋医学で不整脈なんかなんとかしてくれると漠然と考えていた人が多いことでしょう。不整脈があった時、医師たちは患者「ちょっとした不整脈がありますね」とか「何らかの原因で不整脈がでていますね」などとさりげない言い廻しをする。実際、なんともない不整脈もあるようだ。しかし、論文にあるように心筋梗塞後の不整脈は放っておいてはいけないことがわかった。そうかといっても抗不整脈薬がなければどうしようもあるまい。放っておくのもしかたがない。それを「これはたいへんなことになります。」なんて言ったら患者はたちまちパニックにおちいってしまうでしょう。

・ 結局心筋梗塞が脳梗塞に関しては孔子の言ったとおりかも知れないのである。…とはいうものの、それは器質的疾病しか診れない西洋医学の世界である。機能的疾病も得意とする東洋医学ではどうでしょうか。

・ 「ほんとうは怖い家庭の医学」というテレビ番組で脳梗塞の話をしていた。俳優の坂上二郎さんの体験談を交えての番組であった。専門医が招かれ、脳梗塞の前に心房細動があるとのことでした。注目すべきはその危険率のことです。心房細動があると一年ごとに5%づつ増えて10年で50%の危険率になるとのことでした。10年で2人に1人が脳梗塞になるのですよ、もちろんもっと年数が経てば100%に近づくことになるでしょう。全く怖い話です。その予防法の話はなかった。ここまで読んで下さった方には前述の二論文で西洋医学ではその予防がないことはおわかりでしょう。ここに私は平田内氏説で予防法になるのではないかと思うのです。

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